義足の種類は?どんな構造?

義足は、事故や病気で足を切断した人に装着することで、かわりに脚の役割を果たすものです。

それぞれの、身体の機能や能力、年齢、活動量や生活スタイルに合わせて、最適な義足が選ばれます

このページでは、

  • 義足にはどういう種類があるのか
  • 義足はどのような構造になっているのか

を、わかりやすくまとめてご紹介します。

監修: 松原 裕幸(BionicM、義肢装具士)

目次

  1. 義足は基本的に4つの要素から出来ています
  2. 義足の種類は?
  3. 義足の構成パーツにはどのような種類がある?
  4. 義足で最も大事な「ソケット」とは?
  5. パワード義足とは?

1. 義足は基本的に4つの要素から出来ています

脚は、体重のほとんどを支え、歩く動作の基本となります。

脚のかわりとなる義足に求められるのは、

  • 体重を支え動きが伝わり自由に動かせる
  • 脚に固定がされて、ずり落ちない
  • 関節の代わりに曲げ伸ばしができる
  • 地面からの反発をしっかりと受け止める

こういった機能です。それぞれを義足の用語であらわすと、こうなります。 

①ソケット 体と義足をつなぐ部分

②懸垂装置 ソケットと体をつなぐ部分

③継手部分 足継手(あしつぎて)・膝継手(ひざつぎて)・股継手(こつぎて)があり、 関節のかわりになる

④足部(そくぶ) 地面にふれる部分で足首から先の変わり

どんな見た目の義足でも、必ず、この4つの構成が作られています。

ソケット、懸垂方法、支持部、足部をどういうものにするのかは、それぞれの、身体の機能と能力、年齢、活動量や生活スタイルに合わせて決めます。

2. 義足の種類は?

義足にはいろいろな種類があります。
分類にはいくつか方法がありますが、たとえばこういった3つです。

  • 切断のタイミングやどういう目的で作られる義足なのか
  • どういう構造で体重を支える義足なのか
  • どのぐらいの長さの義足なのか

目的による分類

「どういう目的のために作られた義足なのか」をもとに分類する方法です。

大きく分けて、使う時期またはお金の出どころによる違いがあります。

● 仮義足:治療機関で手術後のリハビリ~本義足の装着までの義足

● 本義足:退院し福祉として日常生活を支えるための義足

● その他:職業や作業専用に開発された作業用・競技・レクリエーションに特化したもの、子供向けなどもあります。

構造による分類

面で支えるのか、骨で支えるのかといった支持部の構造の違いでも分類できます。

● 殻構造義肢: エビ・カニのように義肢の外表面が硬く強度のあるもので覆われている構造。

外観の形状を作り込んで逆の足の形状に近づけることで、女性に喜ばれることも多いです。
製作に手間はかかるものの、骨格構造よりも外観を維持したまま軽量にできます。また、経年劣化がなく耐水性にも優れています。

いっぽう、表面が固く、触れると気付かれやすいです。ソケットや足部などのパーツ交換が困難で義足完成後の修理では時間がかかります。ソケットの角度や長さ微調整もしづらいです。

 

 骨格構造義肢: 義肢の中心部分がパイプ構造。

殻構造義肢に比べ、柔軟性のあるスポンジなどで外観が製作されるため、触れても気付かれにくいです。
パーツごとの交換がかんたんで、世界中のメーカーのパーツを連結することができ、選択肢が多く、お試しもしやすいです。
(特に高性能なパーツは骨格構造しかありません。)

修理も手軽です。連結部での角度調整ができ、義足完成の前・後に関わらず、微調整や長さの調整もしやすいです。
ただしスポンジにより外観形状を作ることによるデメリットがあります。
 
例:
  • 殻構造に比べ、外観形状の作り込みが困難
  • 外観形状の維持が難しい
    (例えば、靴下のゴムでスポンジが凹んでしまう、膝継手部分のスポンジが切れてしまう、半年くらいで劣化してしまう、など)
  • スポンジが濡れてしまい耐水性が劣る
    (スポンジの上にストッキングを履かせることが多いので、多少はストッキングで水をはじいてくれるが)
  • 大腿義足や股義足の場合、スポンジにより膝継手の動きが邪魔されてしまう。 
 ※逆に、スポンジを使わない場合、義足が細くなり、ズボンを履いていても外観が悪いです。

切断部位による分類

切断箇所によって分けられ、それぞれに対応した義足が作られています。

ここでは、残存している最も遠位にある関節から切断部位までのことを断端と呼びます。 ※松原個人の定義です

つぎに、代表的な3種類をとりあげます。

● 下腿義足(かたいぎそく):膝より下の切断で装着します。

  • ライナー式(主流・断端にやさしい)
  • PTB式(従来使われていて一般的・動かしやすい)
  • KBM式(座ったときに目立ちにくい)
  • PTS式(膝の安定性が高い)

などのソケットの種類があります。

 

● 大腿義足(だいたいぎそく):膝から上の切断で装着します。

  • ライナー式(主流。ソケットと皮膚の緩衝材として皮膚を保護できる)
  • 吸着式(ソケットと断端を密着させる断端が短いと抜けやすい)
  • 差込式(旧式であり、懸垂のためにズボンの下に肩や腰からのバンドを通す必要がある。)

などのソケットの種類があります。

 

● 股義足(こぎそく):股関節の離断・切断で使われます。安定性の高いカナダ式(カナディアン式)股義足がよく使用されます。

3. 義足の構成パーツにはどのような種類がある?

その方法や素材は開発が進められ、現在ではいろいろな種類があります。

①ソケット

 

②懸垂装置:
ライナー、スリーブ、バルブ(吸着システム)、強制的にソケット内の空気を排出し陰圧にする懸垂システムなどがあります。

 

③足部(そくぶ):
高齢者用(低活動者用)からアスリート用(高活動者用)までさまざまな種類があります。サッチ足、短軸、多軸、エネルギー蓄積型(カーボン)などがあります。近年では、コンピューター制御されているものもあります。

 

④継手(つぎて)
関節部の代わりになって動く。
下肢関節は股関節・膝関節・足首の3種類があるので、継手も3種類あります。

  • 股継手(こつぎて):
    股関節の代わりに動きます。固定式(安定)・遊動式(歩きやすい)があります。(遊動式には油圧制御するタイプもあります)
  • 膝継手(ひざつぎて):
    股関節の代わりとなって動きます。固定式・遊動式があります。
    遊動式には、バネ、油圧制御、空圧制御、コンピュータ制御(C-Leg、インテリジェント膝、POWER KNEE、ALLUX、ジニウム)
    (歩行速度の変化に対応できる)など。
  • 足継手(あしつぎて):足関節の代わりに動きます。固定式と可動式があります。
 
 

他にも次のようなパーツが入ることがあります。

  • ライナー:
    ソケットと断端の間に装着して使います。素材は、シリコン、熱可塑性エラストマー、ウレタンなど。
    末端に懸垂のためのピンがつくものとつかないものがあります。
  • アダプター:
    回旋機構(歩きながら曲がる、ゴルフのスウィング時などに便利)、ターンテーブル(足を崩して座る、あぐらをかくなど可能になる。義足を装着したまま靴の脱着が可能)、衝撃吸収機構など

4. 義足で最も大事な「ソケット」とは?

ソケットとは、体と義足をつなぐ部分です。「人と義足のインターフェース」と言われることもあります。
(インターフェースとは、パソコンでいうと画面やキーボードなど、頭の中を現実に落とし込む接続面にあたります)

ソケットは、義足で最も大事な部分と言われます。
なぜなら、やりたいことを義足に伝え、そして体重を支えるという役割を持つからです。

どんなに高性能な義足でも、ソケットが合わないとしっかり力を伝えることはできません。
ソケットが合わないと、転倒や傷などのリスクがあります。

フィットするソケットづくりのために、ひとりひとりの断端に合わせ、
石膏で型取り・オーダーメイドで義肢装具士が製作されています。

ソケットは義足で いちばん重要なパーツなので、多くの種類があります。

5. パワード義足とは?

これまで解説したのは、受動式(もしくは電子制御型受動式)の義足でした。

最近では義足にも、新しい技術が取り入れられるようになりました。
その一つが、パワード義足です。

パワード義足とは、義足自体に動力があり、
センサーなどによって、ユーザーの動きを助けてくれる機能を持つ義足のことです(注1)


例えてみれば、受動式義足はシンプルなママチャリで、パワード義足は電動自転車のようなものです。

上り坂では、ママチャリは自分自身の強い力でペダルを踏まなければいけない一方、
電動自転車ならペダルが漕ぎやすいようにモーターが動いてくれますよね。

このように、受動式義足はユーザー自身の力で、足を振って動かす必要があるのに対し、
パワード義足なら、義足自体が力を出してくれるため、ユーザーの負担を減らすことが出来ます。

BionicMでは、ロボティクス技術を用いてユーザーの動きをアシストするパワード義足を開発しています。

※(注1)弊社独自の定義です。

BionicMでは仲間を募集しています。

弊社のビジョンに共感し、一緒に技術を世の中に届けていくメンバーを募集しています。

詳しくは以下リンクより詳細をご確認ください。